元銀行員エビエビのエビノート

節約や投資、自分でも実践しているお金に関することを書いていきます。

後悔しない住宅ローン(ネットバンクと店舗型銀行)

固定費の中でも最も大きな割合を占めるのが、居住費である方も多いと思います。家賃の方もいれば、住宅ローンの返済の方もいるとは思いますが、いずれにせよ大きな金額かと思います。

一方で、住宅ローンを組む時は不動産屋や銀行等から契約日を決められ、詳しい説明も受けられず、ゆっくり検討することもできないケースが多いです。そこで、後悔せずに住宅ローン組むために、事前に知っておくべき、基本的だけど銀行員はあまり教えてくれないことを、解説していきたいと思います。まず、この記事ではネットバンクと通常の店舗型の銀行の違いについて解説していきます。

1.ネットバンクとは

最近では、金利の低さからネットバンクが人気を集めていますが、そもそも、ネットバンクとは何かというと、通常の店舗を持つ銀行と違って、店舗がなく、手続がネット等で完結する銀行を指します。具体的には、住信SBIネット銀行、じぶん銀行、ソニー銀行等がこれにあたります。

2.ネットバンクの特徴

1)金利が低い

 ネットバンクは、店舗が無い分、家賃や人件費が削れるので、その分ローンの金利は低い傾向にあります。具体例を見ていきましょう。

<前提条件>

借入金額:3,500万円、借入期間:30年、返済方法:元利均等返済

※返済方法については別の記事で詳しく書きます。ここでは流しておいてください。

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店舗型銀行とネットバンクそれぞれ2行、計4行で比較してみました。

変動金利はやはりネットバンクの方が低くなりましたが、固定金利では三井住友信託銀行が最安となりました。ここで、表の一番下に着目したいのですが、金利が0.215%違うだけで、最終的に支払う利息は、1,190,230円も違うことになります。ここから、いかに金利が重要かがわかると思います。ローンを組む時だけでなく、何かに投資するにしても、この金利に対する感覚は非常に大事になりますので、金利が少し違うだけで利息が大きく変わるという認識を持っておくと良いと思います。

2)保険が充実

住宅ローンの場合、債務者が死亡した場合、住宅ローン残高がゼロになる【団体信用生命保険】には基本的に強制加入することになります。これは、ネットバンクでも店舗型の銀行でも同様です。ネットバンクの場合は更に”がん診断されたら住宅ローン残高が半額になる保険”などの保険が無料で付いてくる商品が多いです。通常の銀行であってもこうした保険は用意されていますが、大抵は金利に追加で保険料がかかります。無料でこうした保険が付いている点はメリットになりうると思います。

但し、住宅ローンに付随する保険は住宅ローンの完済と同時に消滅します。住宅ローンは支払い終わっても人生は続くわけですし、その後の人生の方が高年齢であるため、病気のリスクは大きくなるので注意が必要です。

3)保証料が無料

店舗型の銀行から住宅ローンを借りた場合、通常は【保証会社】の保証を付けます。これは、債務者(お金を借りた人)が返済できなくなったとき、【保証会社】が債務者の肩代わりをして、銀行に残高を支払い、債務者はその後、【保証会社】に返済をしていくことになるというものです。この肩代わり料として【保証会社】に支払うものが【保証料】です。この【保証料】は金利に上乗せして支払うか、借入時にまとめて支払うか選ぶことができます。まとめて支払った方が安く済むので、まとめて支払うケースが多いです。

一方で、ネットバンクで住宅ローンを借りる場合は、【保証料】がかかりません。この点をネットバンクのメリットとして紹介する営業も多いですが、これはミスリードです。ネットバンクの場合は、【保証料】がかからない代わりに【事務手数料】が同じくらいかかります。(借入額の2%程度)

しかも【保証料】を借入時にまとめて支払っておいて、予定されていたスケジュールよりも早く返済(=【繰上返済】)した場合は、【保証料】を支払い過ぎたことになりますので、この分が返金されます。例えば、100万円を1年間借りることを保証してもらうための【保証料】を支払っていたにも関わらず、6か月で100万円返済してしまえば、当初支払った【保証料】は支払い過ぎだったことになり、差額が返ってくるということです。

ネットバンクの場合は【保証料】ではなくあくまでも【事務手数料】なので、【繰上返済】をしたとしても返ってくることはありません。よって、【保証料】の無料は必ずしもメリットとは言えず、条件によってはむしろデメリットになる可能性があります。

【保証料】については、多少マニアックな話になるので、もう少し踏み込んだ話はこちらの記事を読んで頂けたらと思います。

www.ebi-ebi-note.info

ここでは【保証料】無料が必ずしもメリットになるとは限らないということだけ認識して頂けたらと思います。 

3.ネットバンクと店舗型銀行、どちらを選ぶか

上記のネットバンクの特徴を踏まえると、保険が充実しているというメリットはあくまでも副産物的なもので、最も重要なのは金利がどれだけ低いか、というところだと思います。次いで、【保証料】を支払うか、【事務手数料】を支払うか、というところを考えればいいのですが、これは中々に複雑ですし、【繰上返済】を将来するかどうかにもよります。

その他のポイントとしては、自分がメインで使用している銀行口座から返済用口座への送金が自動でできるかどうかもポイントになると思います。これが自動でできない場合は自分で毎月返済日までに送金する必要がありますので、それなりに手間になります。このあたりを踏まえての判断になるかと思います。

冒頭に書いた通り、物件が決まってからは、慌ただしく契約日を迎えるケースが多いと思うので、事前に複数の銀行を比較検討しておくことをおすすめします。

◆まとめ◆ ✔変動金利はネットバンクが安い
✔固定金利は店舗型もネットバンクもまちまち
✔金利は少し違うだけで最終的な負担は大きく変わる
✔ネットバンクは保険が充実しているが、完済すれば保険も消滅する
✔ネットバンクは保証料無料だが、これは必ずしもメリットではない