元銀行員エビエビのエビノート

節約や投資、自分でも実践しているお金に関することを書いていきます。

後悔しない住宅ローン(固定金利と変動金利)

後悔しない住宅ローンシリーズ、第二弾です。今回は、【固定金利】と【変動金利】について、そもそも金利ってなに?ってところから解説していきます。

 1.利息とは?金利とは?

そもそもですが、住宅ローンを考えるにあたり、【利息】【金利】という言葉が出てきます。それぞれの意味を確認しておきます。

【利息】とは”お金を1年間借りるのにかかる費用”のことを指します。本当はもっと広義なものですが、住宅ローンを考えるうえではこの理解でOKです。

一方、【金利】とは、利息を算出する率のことです。

例えば、金利1%で、100万円を1年間借りると利息1万円を支払う必要があるということです。

そして、住宅ローンにおいて金利には【固定金利】と【変動金利】2つのタイプがあります。厳密には【固定金利選択型】というのも含めて3つですが、これは2つのタイプを組み合わせたものなので、この記事では【固定金利】と【変動金利】について解説します。

2.固定金利と変動金利の違い

1)それぞれの定義

固定金利:借入当初の金利がローンを完済するまで継続する金利

変動金利:借入後、定期的に金利が変更される金利

2)固定金利と変動金利の差

同時期の固定金利と変動金利を比較すると、下の表でもわかるように、必ず固定金利の方が高く設定されています。これは、銀行としては、長い間同じ金利でお金を貸すことは、市場環境が変化して、その金利が相対的に低い金利になるリスクを背負うことになるからです。対して、変動金利であれば、その時の市場環境に応じて金利を変えることで、リスクを回避できるので、低い金利になっています。銀行としては、リスクを背負わない変動金利で貸す方が好ましいため、変動金利に誘導する営業が多いです。

f:id:Ebi-Ebi:20200715220622j:plain

3)固定金利の決まり方

最終的には銀行間の競争等で決まるわけですが、その目安となるのが、【長期プライムレート】というものです。これは”民間金融機関が企業に対して1年以上の融資をする際に適用される最低金利”を指し、日銀のホームページなどで確認できます。また、CMでも耳にしたことがあると思いますが、【フラット35】という商品の金利も参考になります。【フラット35】は35年間固定金利の住宅ローンで、住宅金融支援機構という組織が提供し、各金融機関で販売されている商品です。下のチャートが【長期プライムレート】と【フラット35】の推移を表したものです。

f:id:Ebi-Ebi:20200717230255j:plain

こうして見ると、おおよそ長期プライムレートとフラット35の金利が連動していることがわかります。また、現在の金利が歴史的に見ても低水準であることがわかります。

4)変動金利の決まり方

変動金利はどの銀行も【基準金利-○○%】という形で決まっています。そして、この基準金利が変動することで住宅ローンの金利が変動するようになっています。一般的に、半年に一度、金利が見直されます。

基準金利をどう定めるかは銀行毎に違いますが、本来、参考になるのが【短期プライムレート】です。これは”1年未満の借り入れに適用される最優遇金利”を言います。参考に、下のチャートが短期プライムレートの推移です。

f:id:Ebi-Ebi:20200717230635j:plain

変動金利を考えるうえでやっかいなのは、この短期プライムレートがリーマンショック以降、過去最低水準で動いていないということです。マイナス金利の導入をはじめ、様々なことがあったにも関わらず、下がっていないことを考えると、現状の1.475%が”底”になっていると思います、というか、もう機能していないのではないかとさえ思います。但し、この先もずっと上がらないかというと、それはわかりません。チャートの範囲ではありませんが、1990年代には8%をつけていた時期もあります。そもそも、この短期プライムレートが動かなくても、銀行が業績悪化に伴って、基準金利を引き上げる可能性もあるので、短期プライムレートはあまり気にしても仕方ないかと思います。

3.固定金利VS変動金利

固定金利と変動金利、どちらがいいのか考えると、今後、金利が上がると思うなら固定金利が良く、金利が下がると思うなら変動金利の方が良いということになります。

但し、金利の予測は日銀総裁であっても不可能ですので、結局は好みということになります。また、どういった借り方、返し方をしていくのかによっても最良の選択は変わってきます。特に、【元利均等返済】と【元金均等返済】どちらを選ぶかは【固定金利】と【変動金利】の選択にも強く関わってきます。

ちなみに、先にも書いたように銀行は基本的にリスクを背負わないために、変動金利を勧めてきます。ひどい営業は、変動金利で借りておいて金利が上がりそうになった時、固定金利に変更すればいいと言う人までいますが、これは明らかな間違いです。固定金利は変動金利よりも先に動きますので、変動金利が上がりそうな時には固定金利は既に上がってしまっていますし、そもそも借り換えるにしても手数料等がかかりますので、この手のセールストークに惑わされずに、自分の物差しをしっかりもって、納得のいく選択をしましょう。

◆まとめ◆

✔金利=お金を1年間借りるのにかかる費用

✔固定金利=借入当初の金利がローンを完済するまで継続する金利

✔変動金利=借入後、定期的に金利が変更される金利

✔固定金利は変動金利よりも先行して変動する

✔固定金利と変動金利の選び方=最終的には好み。借り方、返し方を踏まえて総合的に判断する必要あり