元銀行員エビエビのエビノート

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後悔しない住宅ローン(ボーナス増額返済はアリかナシか)

後悔しない住宅ローンシリーズです。住宅ローンの組み方の選択肢として、【ボーナス増額返済】というものがあります。これはボーナスの支給月(一般的には年に2月)だけ、返済額を増やして返済していく方法です。例えば、普段は月々10万円返済していって、6月と12月のみ20万円返済するというような方法です。

ここだけ見ると、返済額が増やせるので最終的に支払う利息も少なくできるように思えますが、一方で「【ボーナス増額返済】は損をする」というような記事もネット上で見かけます。

そこで、今回は、【ボーナス増額返済】はアリなのかナシなのか、解説していきます。

1.ボーナス増額返済とは

まず、冒頭で【ボーナス増額返済】とは”ボーナスの支給月(一般的には年に2月)だけ、返済額を増やして返済していく方法”と説明しましたが、これは決して間違いではありませんが、これはあくまでもボーナス増額返済を利用した場合に生じる現象であって、正確ではありません。アリかナシかを判断する上では正確な理解をすることが必要です。ではどの様に理解すれば良いのかというと、”1つのローンを「毎月返済するローン」と「6か月に1回返済するローン」の2つに分ける”という理解が正しいです。例えば、3,000万円のローンを組もうとしている時に、2,500万円は通常通り30年、毎月返済していくこととし、残りの500万円を30年、6か月に1回返済していくことにするということです。こうすることで、6か月に1回は2つのローンの返済が重なるので、結果としては冒頭の説明通り、1年のうち、2ヶ月だけ返済額が増額してすることになるのです。

2.ボーナス増額返済の効果

1)月々の返済額が抑えられる

これは当然かと思いますが、ボーナス月以外の月の返済額はボーナス増額返済を利用しない場合と比べて少なくなります。

2)最終的に支払う利息が増額する

ここで、分割したローンのうち、6か月に1回だけ返済するローンに焦点を当てて考えてみます。このローンは6か月に1回しか返済しないので、当然元金が減っていくペースが毎月返済していくよりもなりますので、最終的に支払う利息は高額になります

よって、単純に【ボーナス増額返済】を利用する場合としない場合とを比較すると、利用しない方が最終的に支払う利息は安く済むということになります。【ボーナス増額返済】の利用が損だという意見はこのことを指しています。

3.ボーナス増額返済はアリかナシか

では、ボーナス増額返済はナシという結論になるかというと、そうでもありません。アリかナシかを判断するにはもう1つ視点が必要だと思います。住宅ローンにおいて支払利息を増減させるポイントとして、【元金均等返済】か【元利均等返済】の選択がありました。【元金均等返済】の方が最終的に支払う利息は少なくできますが、当初の月々の支払額が高額になるというものでした。詳しくはこちらの記事も読んで頂けたらと思います。

www.ebi-ebi-note.info

ここで、ボーナス増額返済の影響が【元金均等返済】と【元利均等返済】の場合でどのようになるのか、具体例で見ていきたいと思います。

<前提条件>借入金額:3,000万円(ボーナス増額返済分は500万円)、借入期間:30年、金利:1%、借入日:1月1日、返済日:毎月末(ボーナス月は6、12月)

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まず、月々の支払額がどの程度抑えられるのか、見ていきます。赤丸の数字に着目してみると、元金均等返済の場合、ボーナス増額返済によって、初回の支払額が18,055円少なくなっていることがわかります。一方で、元利均等返済も、月々の支払額が抑えられるという特徴がありますが、初回の支払額は11,841円、少なくなっており、元利均等返済を利用するよりも、ボーナス増額返済を利用した方が、月々の支払額は抑えられています。

次に、最終的に支払う利息がどの程度増えるのか、見ていきます。青丸の数字に着目すると、元金均等返済の場合、10,417円しか利息が増えていないのに対し、元利均等返済を選択した場合には、224,568円も増加していることがわかります。

よって、単純にボーナス増額返済を活用するケースとしないケースで比較すれば、しない方が支払う利息は若干少なく済みますが、”最終的に支払う利息を抑えるために【元金均等返済】にしよう⇒でも月々の返済は少し抑えたいから【ボーナス増額返済】を使おう”という選択は”アリ”だと思います。

◆まとめ◆  

✔ボーナス増額返済=1つのローンを「毎月返済するローン」と「6か月に1回返済するローン」の2つに分ける”こと

✔単純に、【ボーナス増額返済】を活用する場合としない場合を比べれば、した場合の方が、最終的に支払う利息は高くなる

✔【元利均等返済】を選択するよりも、【ボーナス増額返済】を選択する方が、月々の返済額の抑制効果も大きく、最終的に支払う利息の増額幅も少なくて済む

✔よって、”最終的に支払う利息を抑えるために【元金均等返済】にしよう⇒でも月々の支払額は抑えたいから【ボーナス増額返済】を使おう”という発想は”アリ”