元銀行員エビエビのエビノート

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配当利回りの優等生、J-REIT

近年、高配当のファンドに人気が高まっていますが、今回は、格付が高く、国内商品で、安定した高利回りが期待できる貴重な資産、J-REIT(ジェイ・リート、不動産投資信託)について、概要と投資対象としての魅力について、初心者向けに解説していきたいと思います。僕も今は米株インデックスの定期積立に絞っていますが、以前は少し投資していた時期もありました。

1.J-REITとは

1)J-REITの仕組み

そもそも、J-REITとは、辞書的にはJapan Real Estate Investment Trust(不動産投資信託)の略称であり、投資信託の一種です。スキームとしては、投資者から資金を集め、不動産を運用して得た賃料収入等を源泉に、投資家に分配するものです。スキームを図で示すと以下の通りです。

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登場人物が多いので、一旦整理していきます。

①不動産投資法人

まず、J-REIT市場の中に、【不動産投資法人】という特殊法人が存在します(2020年7月時点で63銘柄)。株式で言えば、株式市場の中に株式会社が存在するのと同じです。ちなみに、不動産投資法人と一口に言っても、それぞれ戦略は千差万別です。例えばオフィスビルしか持たない不動産投資法人もあれば、物流施設しか持たない投資法人もあったりしますので、投資家は自分の狙いや好みに合わせた銘柄を選定する必要があります。

この不動産投資法人がオフィスビル等の不動産を所有し、その不動産から賃料収入を得ています。投資家は、この不動産投資法人の投資口(株式会社で言う株式)を保有することで、賃料収入を原資とした配当を得ることができます。

不動産投資法人とは、不動産の保有のみを目的とした法人であり、不動産から得た利益の90%以上を配当に回せば、法人税が課されない法人です。この税法上の制度によって、投資家からすれば高い配当利回りが期待できます。

②運用会社(アセットマネージャー、AM)

不動産投資法人は、不動産の保有のみを目的とした箱のようなイメージで、役員以外の従業員は存在しません。そこで、実際に不動産の運用業務(何の不動産を保有し、どのように賃貸するのか等)はこの【運用会社】が行います。

例えば、JR大崎駅前にある地上25階、地下2階のオフィスビル「NBF大崎ビル」は「日本ビルファンド投資法人」が保有していますが、実際の運用は「日本ビルファンドマネジメント株式会社」と言うアセットマネージャーが行っています。

③管理会社(プロパティマネージャー、PM)

また、テナントの募集等の管理業務は更に運用会社から委託を受けた【管理会社】が行います。

2)J-REITの特徴

①少ない金額で不動産に投資できる、分散投資も可能

一般的に、不動産投資というと、アパートを購入して賃貸するなどの形になりますので、多額の資金が必要になり、分散投資も難しいです。しかし、J-REITであれば、株と同じように、投資口を保有することで、不動産から発生する賃料を配当として受け取れるので、少額から不動産投資ができることになります。また、1つの不動産投資法人が複数の物件を保有しているので、分散投資も可能です。つまり、少額でいろんな物件の大家になれる、ということです。

②高利回りが期待できる

不動産投資法人は利益の90%以上を配当することで法人税が課されない法人ですので、投資家としては高利回りが期待できます。実際、J-REIT市場の平均利回りは2020/7/22時点で4.38%です。

③機動的に売買できる

実物の不動産は買い手を探すのが困難ですが、J-REITは株式と同じように市場で売買できます。

④インフレに強い

一般的に、不動産賃料はインフレしやすい分野になりますので、インフレに伴い賃料が上昇し、それが配当利回りに反映されるため、インフレにより実質的な資産価値が低下する可能性が低いと言えます。

2.J-REITの市場概況

1)J-REITの市場規模

J-REITは2001年9月に始まり、当初は2銘柄の不動産投資法人のみでしたが、2020年7月時点で63銘柄まで増えており、現在の時価総額は13兆円を超えています。

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ちなみに、13兆円という市場規模はREITの先駆けである米国REIT市場の10分の1程度ですが、世界的に見ると、米国に次いで2番目の規模となっています。

2)J-REITの配当利回り

J-REITの一番の魅力は高く安定している配当利回りだと思いますが、実際どのように推移してきたのか、見てみます。

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東証1部の株式の配当利回りが2%前後で推移しているのに対し、J-REIT指数の配当利回りは4%前後の高い水準で推移していることがわかります。為替リスクを取らずにこの水準の利回りが期待できるのはJ-REITならではだと思います。

3)J-REIT指数とTOPIX

J-REIT指数はどのような値動きをするのか、TOPIXと比較して見てみます。

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チャートで見てみると、2015年ごろまでは、TOPIXよりも値動きは大きいものの、似た動きをしていますが、2015年以降はTOPIXと逆相関に近い動きをしていることがわかります。これは、当初は株と同様のリスク資産としてみなされていたものが、利回りに着目した投資家からの需要が高まったことに加え、日米金利差の拡大に伴い、米国人にとって、「為替ヘッジプレミアム+高利回り」の魅力的な資産になり、米国からの投資家が増えたことで投資家層が変わってきたことが要因と考えられます。

以上の特徴から、配当狙いの投資家の方が、値動きを許容できる範囲でポートフォリオに

組み込むことは、十分検討対象になるのではないかと思います。

◆まとめ◆

✔J-REITは少額から不動産投資ができる資産

✔市場規模は米国に次いで世界で2番目

✔不動産投資法人の税法上の制度によって安定した高い利回りが期待できる

✔J-REIT指数自体はTOPIXと異なる動きをし、値動きは比較的大きい

✔J-REITはインフレに強い資産