元銀行員エビエビのエビノート

節約や投資、自分でも実践しているお金に関することを書いていきます。

正しい貯蓄の方法とは?(資金作りとインフレ)

今回は資金作りとインフレの関係について、インフレとは何か、というところから解説していきたいと思います。一般的に、資金作りは教育資金、家を買う資金、子供への贈与資金、など、用途別に計画することが多いと思います。しかし、例えば「◯年後に◯◯万円貯めるために月々◯円ずつ貯金しよう。」という資金作りをしていると、いざそのときになってみると、資金不足になる可能性があります。なぜかというと、そこにインフレが関わってきます。 

1.インフレとは

インフレとはインフレーションの略で、物の値段(物価)が上昇することを言います。物の値段が上がる、ということは、相対的にお金の価値が下がることを表します。例えば100円で買えていた缶コーヒーが物価上昇によって110円になった場合、100円というお金には缶コーヒー1本分の価値がなくなっているわけです。インフレーションの反対がデフレーションと言います。

そして、物価を表す数値として、よくニュース等でも取り上げられるのが、【消費者物価指数】です。【CPI】と言ったりもします。

2.消費者物価指数(CPI)とは

消費者物価指数とは物価を表す指数ですが、消費者、つまり一般の人々が物を買ったり、サービスを受けたりするときに支払う値段を表すものです。これは、総務相のホームページで過去の統計も公表されているので、見てみるのもいいと思います。

3.消費者物価指数(CPI)の動向

日本は経済政策として、消費者物価指数を前年同月比で2%上昇させることを目標にしていますが、以下のグラフが示すとおり最近はは前年同月比0.1~1.0%程度で推移しているのが現状です。但し、マイナスではないので、物価は少しずつ上昇はしているということです。

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※総務省のデータより作成

また、消費者物価指数(CPI)は品目別の値も総務省が公表しており、品目別の推移を示しているのが、以下のチャートです。

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※総務省のデータより作成

品目別に見てみると、それぞれで傾向が異なることがわかります。例えば、食料は価格競争が生じやすく、インフレしにくい傾向があり、家賃や衣料は比較的ブレが大きいことがわかると思います。

4.資金作りとインフレ

ここで、資金作りとインフレを併せて考えてみたいと思います。日本では、目標にこそ届いていませんが、インフレはしているのが現状です。仮に10年後に100万円貯めるために、毎年10万円の貯金を無利息でしていたとすると、間違いなく額面上の100万円は貯まりますが、インフレによって、その100万円に当初期待していた100万円の価値はなくなっているわけです。そのため、用途に応じて資金作りをする場合には、インフレ率を上回る利回りで運用するか、インフレを見越して月々の貯蓄額を多めに設定する必要があるということになります。

5.教育資金とインフレ

特に、教育資金を準備しようとする際には、インフレを意識することが必要です。教育資金、中でも大学の授業料は高額であり、必要となる時期も決まっているので、あらかじめ準備をしておこうと考える方も多いと思います。

ここで、”授業料等”のインフレ傾向を見てみましょう。

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総務省のデータより作成

リーマンショック後(2010)と保育料無償化(2019)のタイミングでは、特殊要因で大きく下げていますが、長い目でみると、総合よりもインフレしやすい傾向があることがわかります。したがって、これを意識した資金作りをしていく必要があります。

例えば、私立文系大学の場合、4年間で400万円程度がかかると言われています。その他にも1人暮らしの費用等もかかる可能性があることを考え、500万円を18年後に作る計画を立てるとします。

ここで、インフレを考えずに毎月23,000円(500万円÷216か月(18年×12か月)=23,000円)ずつ貯金すれば、額面上500万円は貯まります。

一方で、大学の授業料が毎年1%ずつインフレしたとすると、現在の水準で500万円だった必要額は598万円(500万円×(1.01の18乗))になっている計算になり、額面上の500万円を貯めただけでは98万円不足することになります。

そのため、月々の貯蓄額を28,000円程度まで引き上げるか、インフレ率を上回る利回りで運用しながら資金作りをする必要があります。

◆まとめ◆ ✔インフレ=物価(物・サービスの価格)が上がること=お金の価値が下がること⇔デフレ
✔消費者物価指数(CPI)=物価を表す指数(総務省のHPで確認可能)
✔日本の消費者物価指数は少しずつ上昇傾向
✔物価動向は品目ごとに異なる
✔インフレを考慮した資金作りをしないと不足してしまう
✔特に授業料等はインフレしやすいため、特に意識する必要がある